この記事の結論
- 初心者向けの丈夫な水草は、底砂に植える「アナカリス」と、流木・石に活着させる「ミクロソリウム」「ウィローモス」「アヌビアス・ナナ」の4種が定番
- 植え方は大きく分けて2パターンだけで、底砂に挿すタイプと、糸などで固定して活着を待つタイプがある
- 今回紹介する4種はCO2添加なしでも育てられますが、光量とコケとのバランスだけは意識しておきたい
水草を植える準備は、前回の下準備の続きから
前回の記事では、コケを予防してくれるエビ・貝という生体を紹介しました。
今回はふたたび水草に話を戻し、初心者でも育てやすい丈夫な水草の種類と、実際の植え方の基本を扱います。
以前の底砂・レイアウト用品の選び方の記事では、底砂を敷いてレイアウトを組むところまでを扱い、水草を植える一歩手前の下準備(苗のポットや鉢についた土・綿を洗い落とす作業)にも軽く触れていました。
この記事では、その下準備が終わった苗を、実際に水槽の中へ植えていく段階まで踏み込んで解説します。
「水草はなんとなく難しそう」というイメージを持つ人も多いが、種類さえ選べば、道具はピンセット1本で十分に始められます。
初心者向けの丈夫な水草4種
水草には数百種類のバリエーションがありますが、その中でも丈夫で失敗が少なく、初心者向けとしてよく紹介される4種を選んで取り上げます。
植え方のタイプは「底砂に植える」タイプと「流木・石に活着させる」タイプの2つに大きく分かれるので、その違いも意識しながら見ていきましょう。
アナカリス、切って挿すだけで増やせる定番の有茎草

アナカリス(オオカナダモ)は、細長い葉が茎にらせん状につく、いわゆる「有茎草(ゆうけいそう)」と呼ばれるタイプの水草です。
茎を数センチの束にして底砂に挿すだけで育ち始める手軽さから、水草を植える最初の1種としてよく選ばれています。
成長スピードが速く、水中の養分をどんどん吸収してくれるため、水質の浄化を兼ねた「浮き草代わり」として金魚水槽に入れられることも多いです。
価格は1束(5〜6本程度)で200円〜400円ほどが目安で、値段の手頃さも初心者向けと言われる理由のひとつです。
ミクロソリウム、流木に根を張るシダの仲間
ミクロソリウムはシダの仲間の水草で、細長く硬めの葉を持つのが特徴です。

アナカリスとは違い、根を底砂に埋めず、流木や石の表面に根を張り付けて育つ「活着(かっちゃく)」タイプの水草になります。
成長スピードはアナカリスよりかなり遅く、レイアウトの姿があまり崩れないため、トリミング(剪定)の手間が少ないのも扱いやすい点です。
1株500円〜800円ほどで、単体でも十分に存在感のあるレイアウトになります。
ウィローモス、流木や石を緑化する苔の仲間

ウィローモスは苔(コケ植物)の仲間で、ミクロソリウムと同じく活着タイプの水草になります。
流木や石に糸で巻きつけておくと、数週間ほどでじわじわと絡みついて緑の絨毯のようなレイアウトを作ってくれます。
前回の記事で触れた、ミナミヌマエビの稚エビが身を隠す隠れ家としても重宝される水草で、エビ・貝との相性が特によい種類のひとつです。
1パック(数グラム程度)400円〜700円ほどで、少量でも広い範囲に増やしていけます。
アヌビアス・ナナ、最も丈夫で成長がゆっくりな活着草

アヌビアス・ナナは丸みを帯びた厚い葉が特徴の活着タイプの水草で、今回紹介する4種の中でも特に丈夫で枯れにくい種類として知られています。
成長は非常にゆっくりで、レイアウトの主役というより、流木や石に添えるアクセントとして使われることが多いです。
1つだけ注意したいのが、茎の根元にある太い部分(ライゾーム、根茎)を底砂に埋めてしまうと腐って枯れてしまう点で、必ず底砂の上に出した状態で活着させる必要があります。
1株600円〜1,000円ほどで、他の3種よりやや高めですが、その分寿命が長く長期間レイアウトを維持しやすいです。
水草を植えるメリット、見た目だけじゃない3つの役割
水草は水槽の見た目を華やかにするだけの存在ではありません。
魚や生体が快適に過ごすための役割も、実はいくつか担っています。
1つ目は、水中の養分(魚のフンや食べ残しから出る硝酸塩など)を吸収し、水質の悪化を緩やかにしてくれる点です。
2つ目は、混泳の相性の記事でも触れたとおり、物陰を作ることで気の弱い魚や稚エビの隠れ家になり、水槽内のストレスを減らしてくれる点です。
3つ目は、後述するとおり水草が元気に育っている水槽ほど、コケが目立ちにくい傾向があるという点で、これは光と養分を水草とコケが奪い合う関係にあるためです。
水草の植え方の基本、2つのタイプ別に手順を解説
ここからは、実際に水草を植える手順を見ていきましょう。

植え方は「底砂に植えるタイプ」と「流木・石に活着させるタイプ」の2パターンだけ覚えておけば、今回紹介した4種はすべてカバーできます。
底砂に植えるタイプ(アナカリスなど有茎草)
- 苗についた土や綿(ロックウール)を、水につけながら軽く洗い落とす
- 茎を3〜5cm程度の束に分け、下側の古い葉を1〜2cmほど取り除いておく
- ピンセットで茎の下側をつまみ、底砂に2〜3cm程度差し込む
- 指で底砂を軽く押さえ、茎が抜けてこないかを確認する
植えたばかりの茎は根がまだ張っていないため、水流の強い場所を避けて植えると抜けにくいです。
流木・石に活着させるタイプ(ミクロソリウム・ウィローモス・アヌビアス・ナナ)
- 苗を流木や石の、置きたい位置に軽く乗せる
- 木綿糸や園芸用のビニールタイ(または専用の接着剤)で、根の部分を流木・石に固定する
- アヌビアス・ナナの場合は、根茎(ライゾーム)が底砂に埋まらない位置に固定する
- そのまま2〜4週間ほど様子を見て、自力で根を張り付かせる(活着する)のを待つ
水草を育てるうえで気をつけたいこと
植えて終わりではなく、水草を元気に育てていくうえで押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
光量、丈夫な種でも「光ゼロ」では育たない
水草は光合成をして育つ植物なので、水槽用の照明(ライト)は基本的に必須になります。
点灯時間は1日8時間程度を目安にし、つけっぱなしにはせずタイマーで管理すると、コケの発生を抑えつつ安定した光量を保ちやすいです。
今回紹介した4種は、水草の中では光量への要求が低い「弱光〜中光量でも育つ」タイプに分類されるため、水槽キットに付属する標準的なライトでも十分に育てられます。
照明の明るさ・色温度の選び方や、水草の種類による光量ニーズの違いについては、水槽用LED照明の選び方、明るさ・色温度と水草育成・点灯時間の関係の記事で詳しく扱っています。
CO2添加の要否、今回の4種は必須ではない
アクアリウムを調べていると「CO2添加」という言葉を目にすることがありますが、これは水草の光合成を助けるために、専用の機材を使って水中に二酸化炭素を人工的に溶かし込むことです。

今回紹介したアナカリス・ミクロソリウム・ウィローモス・アヌビアス・ナナの4種は、いずれもCO2添加がなくても育てられる種類に分類されます。
一方で、前景に敷き詰めるタイプの細かい水草(グロッソスティグマなど)は、CO2添加がほぼ前提になるものも多く、種類によって必要な設備の差が大きいです。
CO2添加をすれば成長のスピードは上がりますが、追加の機材費(ボンベ・レギュレーター・添加装置など)がかかるため、最初の1本目はCO2添加なしで育てられる種類から始めるのが無難です。
コケとの関係、水草とコケは光・養分の奪い合い
水草とコケは、光と水中の養分という同じ「資源」を取り合う関係にあります。
水草がしっかり成長して養分を吸収してくれると、コケの側に回る養分が減り、結果としてコケが目立ちにくくなります。
逆に、光を当てすぎているのに水草がうまく育っていない状態だと、余った光と養分がそのままコケの繁殖に回ってしまいます。
水草をしっかり育てることは、それ自体が地味なコケ対策になります。
エビ・貝による予防と、水草を元気に育てることによる予防を組み合わせるのが、コケに悩まされにくい水槽への近道です。
コケの種類ごとの見分け方や、すでに増えてしまったコケへの具体的な対処法は、コケが生えたらどうする?種類別の原因と対策で改めて詳しく扱っています。
まとめ、初心者向け水草の選び方早見表
ここまで紹介した4種の水草を、選び方の早見表に整理しました。
| 水草 | 植え方タイプ | CO2添加 | 成長スピード | 価格帯の目安 |
|---|---|---|---|---|
| アナカリス | 底砂に植える(有茎草) | 不要 | 速い | 1束200円〜400円 |
| ミクロソリウム | 流木・石に活着 | 不要 | 遅い | 1株500円〜800円 |
| ウィローモス | 流木・石に活着 | 不要 | やや速い | 1パック400円〜700円 |
| アヌビアス・ナナ | 流木・石に活着(根茎は埋めない) | 不要 | 非常に遅い | 1株600円〜1,000円 |
迷ったときは、手軽さ・値段重視ならアナカリス、流木や石を使ったレイアウトを楽しみたいなら活着タイプの3種という分け方で選ぶとよいでしょう。
複数の種類を組み合わせて植えることで、水槽全体の緑の密度や高さに変化が出て、より立体的なレイアウトに仕上がりやすいです。
底砂に植えるタイプと、流木・石に活着させるタイプの違いがだいたいわかっている。
今回の4種はCO2添加なしでも育てられることが頭に入っている。
水草を元気に育てることが、地味なコケ対策にもなるという関係性が納得できている。
魚・エビ貝・水草がそろえば、水槽サイズに対してどのくらいの数まで生体を迎えられるかという疑問が次に出てくるはずです。
水槽サイズ別の飼育数の目安については、「水槽サイズ別・飼育できる魚の数」診断チャート+相性早見表で、これまでの記事を踏まえてまとめて整理しています。
今日のアクション
- 自分のレイアウトに、底砂に植えるタイプと活着タイプのどちらが合いそうか考えてみる
- 水草用ライトの点灯時間をタイマーで8時間程度に設定してみる
- 植えたい水草を1〜2種類に絞り、必要な本数・株数をメモしてみる
次に読むべき記事
- 前の記事: ミナミヌマエビ・ヤマトヌマエビの飼い方、繁殖・脱皮・死んでしまう原因まで踏み込んで解説
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