この記事の結論
- ろ材には「物理ろ過材」「生物ろ過材」「化学ろ過材」の3種類があり、それぞれ役割もお手入れの頻度も別物
- 水槽の調子を支えているのは生物ろ過材、洗いすぎず1〜2年は替えないのが基本
- 化学ろ過材(活性炭など)は必須品ではなく、黄ばみやニオイが気になるときだけ使う補助用品
フィルターの中で、実際に何が起きているのか
フィルターの種類と選び方を扱った記事では、外部式・上部式・投げ込み式・底面式という4タイプの違いを整理しました。
水換え・フィルター掃除の正しいやり方を扱った記事でも、「ろ材は水道水で洗ってはいけない」という鉄則を紹介しました。
ただ、どちらの記事でも「ろ材」という言葉自体は何度も登場するのに、ろ材そのものが何なのかまでは踏み込んでいませんでした。
筆者自身、飼育を始めたばかりの頃はフィルターの中身をひとまとめに「ろ材」と呼んでいて、白いふわふわしたものも、黒い粒々したものも、同じもののように扱っていた時期があります。
あるとき掃除のついでに中身を全部洗い流してしまい、数日後に水が白く濁ってしまった経験があり、そこで初めて「ろ材ごとに扱い方が違う」ことを痛感しました。
この記事では、ろ材が担っている3つの役割と、種類ごとのお手入れ・交換の目安を整理していきます。
ろ材が担う3つの役割
ろ材と一口に言っても、実際には「物理ろ過材」「生物ろ過材」「化学ろ過材」という、まったく違う役割を持つ3種類に分かれています。

物理ろ過材、ゴミをこし取る「門番」役
物理ろ過材は、フンや食べ残しといった目に見えるゴミを、機械的にこし取る役割を持つろ材です。
ウールマットやスポンジがこのタイプの代表で、水がフィルターに入って最初に通る位置に配置されることが多いのが特徴です。
いわばフィルター全体の「門番」のような存在で、ここで大きなゴミを受け止めておくことで、後段の生物ろ過材が目詰まりするのを防いでいます。
生物ろ過材、ろ過バクテリアの「住処」
生物ろ過材は、リング状ろ材やセラミックろ材と呼ばれる、多孔質で表面積の大きいろ材です。
水槽の立ち上げを扱った記事で紹介したサイクリングの期間中、アンモニアや亜硝酸を分解してくれるろ過バクテリアは、まさにこの生物ろ過材の表面に定着していきます。
3種類のろ材の中で、水槽の調子を最も左右しているのはこの生物ろ過材だと考えておいて差し支えありません。
化学ろ過材、活性炭などで水を化学的に整える
化学ろ過材は、活性炭やゼオライトなど、水中の特定の物質を吸着して取り除くタイプのろ材です。
流木から出る茶色い色素や、水のニオイの原因になる物質を吸着してくれるため、水を透明でクリアな状態に保ちたいときに効果を発揮します。
ろ材ごとのお手入れ・交換の目安
役割が違えば、お手入れの仕方も交換のタイミングもまったく別物になります。
物理ろ過材のお手入れ
水換え・フィルター掃除の記事で紹介した掃除の頻度(外部式は月1回程度、上部式・投げ込み式は2週間に1回程度)にあわせて、そのタイミングでゆすいでおくのが基本です。
ゆすぐだけでは汚れが取り切れなくなり、繊維が潰れて弾力がなくなってきたら、交換のサインと考えましょう。
使用状況にもよりますが、目安として2〜3ヶ月に1回程度、新しいものに入れ替えると考えておくと、極端に劣化させずに済みます。
生物ろ過材のお手入れ
生物ろ過材も、掃除のタイミングで軽くすすぐこと自体は必要ですが、洗い方には注意が必要です。
生物ろ過材は、水道水で洗うと塩素でろ過バクテリアが死滅してしまうため、必ず飼育水かカルキ抜き済みの水ですすいでください。
真っ白になるまでゴシゴシこすらず、大きな汚れをざっと落とす程度にとどめましょう。
交換自体の目安は1〜2年程度で構いませんが、一度に全部を新品に入れ替えるのは避け、半分ずつ時期をずらして交換すると、バクテリアの住処を大きく減らさずに済みます。

表面に薄茶色の膜のようなものが残っていても、それはバクテリアが定着している証拠なので、無理にきれいにする必要はありません。
化学ろ過材のお手入れ
化学ろ過材は、他の2つと違って「洗って繰り返し使う」という考え方ができません。
活性炭などの吸着力には限界があり、1〜2ヶ月ほどで吸着できる量がいっぱいになってしまうため、洗っても性能は元に戻らず、使い切ったら新しいものに交換する必要があります。
交換の目安を過ぎたまま入れっぱなしにしておくと、吸着していた物質を逆に水中へ放出してしまうこともあるため、使うと決めたら交換のタイミングをカレンダーなどで管理しておくと安心です。
フィルターのタイプ別、ろ材の組み合わせ方
フィルターの種類と選び方の記事で紹介した4タイプは、中に入れられるろ材の組み合わせ方にも違いがあります。

外部式、複数のろ材を細かく組み合わせられる
外部式フィルターは、円筒形のろ過槽の中に複数の部屋が分かれており、物理・生物・化学の3種類を目的に応じて自由に組み合わせられるのが強みです。
迷ったら、入り口側に物理ろ過材(ウールマット)、中間から出口にかけて生物ろ過材(リング状ろ材)を厚めに、余裕があれば仕上げに化学ろ過材を少量、という順番で組むのが基本の考え方です。
生物ろ過材の量を多めに確保できることが、外部式のろ過能力が高い理由でもあります。
上部式・投げ込み式、標準セットで足りるかを見極める
上部式・投げ込み式は、購入時点でスポンジやろ材パックがあらかじめセットされている製品がほとんどです。
標準のセットでも小型〜中型水槽なら十分に機能しますが、飼育数が多めだったり、コケが目立ちやすいと感じたりする場合は、生物ろ過材を追加できるスペースがあるか確認してみるとよいでしょう。
底面式、底砂そのものが生物ろ過材になる
底面式フィルターは、底砂の下に敷いたプレートから水を吸い込む仕組みで、底砂の粒そのものが生物ろ過材の役割を果たします。
他のタイプのように専用のろ材を追加する発想はあまりなく、底砂の面積が広いほどバクテリアの住処も広くなる、というシンプルな仕組みで成り立っています。
まとめ、ろ材の種類とお手入れ早見表
ここまでの内容を、ろ材の種類別に一覧表へまとめました。
| ろ材の種類 | 主な役割 | すすぐ・洗う頻度 | 交換の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 物理ろ過材(ウールマット・スポンジ) | ゴミを物理的にこし取る | フィルター掃除と同じタイミング | 2〜3ヶ月に1回程度 | すすぎすぎず汚れを落とす程度に |
| 生物ろ過材(リング状・セラミックろ材) | ろ過バクテリアの住処 | 掃除と同じタイミングで軽くすすぐのみ | 1〜2年程度 | 水道水厳禁、一度に全部替えない |
| 化学ろ過材(活性炭など) | 黄ばみ・ニオイを吸着 | 洗って再利用はできない | 1〜2ヶ月 | 必須品ではなく気になるときの補助用品 |
物理・生物・化学、3種類のろ材の役割の違いがだいたいわかっている。
生物ろ過材は水道水で洗わない、一度に全部替えないという扱い方がわかっている。
化学ろ過材は必須品ではなく、気になるときに使う補助用品だとわかっている。
ろ材は地味な消耗品に見えますが、水槽の調子を陰で支えている、いわば縁の下の力持ちです。
種類ごとの役割さえ頭に入っていれば、何をどのタイミングで交換すればいいか、迷うことは少なくなります。
次は、日々のお手入れが正しくできているかどうかを、感覚ではなく数値で確認する方法として、水質検査薬(試薬)の使い方を扱った記事を見ていきましょう。
今日のアクション
- 自分のフィルターの中に、物理・生物・化学のどのろ材が入っているか、一度確認してみる
- 生物ろ過材を前回いつ交換したか思い出し、1〜2年を大きく超えていないか確認する
- 化学ろ過材を使っている場合は、交換のタイミングをカレンダーやリマインダーに登録する





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