この記事の結論
- 魚はえらで水に溶けた酸素(溶存酸素)を取り込んでいて、水面が動くほど酸素は水に溶けやすくなる
- 夏場の高水温期・過密飼育・消灯後の水草水槽ではエアレーションが必要になりやすく、CO2添加中の水草水槽では逆に不要・逆効果になりやすい
- エアポンプ・エアストーンは水槽サイズと使う目的に合わせて選べば、そこまで難しい機材ではない
フィルターの種類と選び方を扱った記事や、ヒーター・水温管理の基本を扱った記事で、水槽に必要な機材はひととおり紹介してきました。
ただ、ショップの機材コーナーを見ていると、フィルターやヒーターとは別に「エアポンプ」という商品が並んでいることに気づいた方もいるのではないでしょうか。
ぶくぶくと泡を出すあの機材で、必要かどうかがいまいち分かりにくい存在だと思います。
筆者自身、飼育を始めた当初は「魚を飼うなら絶対に必要なもの」だと思い込んでいましたが、実際には水槽のタイプによって必要度がかなり変わる機材でした。
この記事では、酸素が水槽の中にどう供給されているのかという仕組みから、エアレーションが必要になるケース・不要になるケース、エアポンプとエアストーンの選び方まで整理していきます。
魚はどうやって水中の酸素を得ているのか
魚はえらを使って、水の中に溶け込んでいる酸素を取り込んでいます。
この「水に溶け込んでいる酸素」のことを溶存酸素と呼び、溶存酸素の量が少なくなると、魚は呼吸がしづらくなってしまいます。
では、その酸素はどこからやってくるのでしょうか。
答えは、主に水面です。
水面が空気と接する部分では、空気中の酸素が水に溶け込み、逆に水の中にたまった二酸化炭素が空気側に抜けていくというガス交換が常に行われています。
水面が動いて波立つほど、空気と触れる面積が増えるため、酸素が水に溶け込みやすくなるという関係になっています。
エアレーションというのは、まさにこの水面を動かす働きを、エアポンプの力で補助してあげる行為のことです。

もう一つ知っておきたいのが、水草の存在です。
水草は日中、照明を浴びて光合成をしている間は酸素を出す側に回ってくれますが、消灯後は逆に酸素を消費する側に回ります。
つまり、水槽の中の酸素量は一日を通して一定ではなく、時間帯や水槽の状態によって増減しているということです。
エアレーションが必要になる代表的なケース
ここまでの仕組みを踏まえると、酸素が不足しやすい状況が見えてきます。
代表的な3つのケースを紹介します。
夏場の高水温期、水に溶ける酸素そのものが減る
水温が高くなるほど、水に溶け込める酸素の量は少なくなるという性質があります。
ヒーター・水温管理の記事で紹介した夏の高水温対策と合わせて、水温が上がりやすい時期は酸素の量そのものが少なくなっているとイメージしておくとよいでしょう。
クーラーや冷却ファンを使っていない水槽では、真夏に水温が30℃近くまで上がることも珍しくありません。
水面近くで口をパクパクさせる・えらの動きがいつもより速く荒くなっている様子が見られたら、酸欠のサインかもしれません。
すぐにエアレーションを追加するか、水換えで水質を整えることを検討してください。
魚の数が多い・大きい魚がいる水槽
魚の数が多いほど、あるいは体の大きい魚がいるほど、水槽全体で消費される酸素の量は増えていきます。
過密飼育に近い水槽や、コリドラスのように底層で活発に動き回る魚を多めに飼育している水槽では、酸素の消費量も自然と多くなりがちです。
フィルターの水流だけでは水面の動きが足りていないと感じる場合は、エアレーションを足す余地があると考えてよいでしょう。
消灯後の水草水槽、酸素を消費する側に回る時間帯
先ほど触れたとおり、水草は消灯後になると酸素を出す側から消費する側に切り替わります。
水草の量が多い水槽ほど、この切り替わりによる酸素の減り方が大きくなりやすいです。
日中は元気に泳いでいた魚が、夜間だけ水面近くでじっとしているような様子が見られる場合、消灯後の酸素不足が関係していることがあります。
エアレーションが不要・逆効果になりやすいケース
一方で、エアレーションを常時つけていると、むしろ都合が悪くなる水槽もあります。
CO2添加をしている水草水槽、CO2が逃げてしまう
水草をしっかり茂らせたい水槽では、光合成を助けるためにCO2(二酸化炭素)を添加することがあります。
ところが、エアレーションで水面をバシャバシャと動かしてしまうと、せっかく溶かしたCO2が空気中に逃げていくガス交換が働いてしまいます。
CO2添加とエアレーションは、狙っている効果が正反対という関係になっているわけです。

CO2添加の必要性や添加のタイミングについては、CO2添加の基本を扱った記事で詳しく紹介しています。
もしCO2添加をしている、あるいは検討している水槽であれば、日中のエアレーションは基本的に控え、消灯後だけ稼働させるといった使い分けが現実的な落としどころになります。
フィルターの水流で水面が十分に動いている水槽
フィルターの種類と選び方を扱った記事で紹介したとおり、上部式フィルターは水を上から下に流し落とす構造上、それだけでも水面をよく動かしてくれます。
投げ込み式フィルターも、もともとエアポンプの力で動く仕組みのため、フィルター自体がエアレーションの役割を兼ねています。
一方、外部式フィルターは水槽の外に設置してろ過槽内で密閉された水を循環させる構造上、水面をあまり動かさない傾向があります。
エアポンプ・エアストーンの選び方
エアレーションを追加すると決めたら、次は機材選びです。
エアポンプの選び方、吐出量と静音性
エアポンプは、水槽のサイズに対して吐出量(空気を送り出す力)が合っているものを選ぶのが基本です。
パッケージや商品ページには「〜cm水槽まで」といった対応サイズの目安が記載されていることが多いため、まずはそこを確認しましょう。
寝室や仕事スペースに水槽を置く場合は、駆動音の小ささもチェックしておきたいポイントです。
安価なタイプほど「ジー」という駆動音が気になりやすい傾向があるため、静音性を重視した製品を選ぶか、設置場所を工夫するとよいでしょう。
エアストーンの種類、気泡の細かさと素材
エアポンプから伸びたチューブの先に取り付けるのが、泡を細かくするエアストーンです。
セラミック製のエアストーンは気泡が細かく、水面を効率よく動かしてくれる一方、目が詰まりやすく数か月で交換が必要になることがあります。
樹脂製のエアストーンは気泡が粗めで見た目の勢いが出やすく、目詰まりしにくいぶん長持ちしやすい傾向です。

見た目の好みだけでなく、水槽の大きさに合ったサイズを選ぶことも大切で、大きすぎるエアストーンは泡の勢いが強すぎて魚がストレスを感じてしまう場合があります。
設置の工夫、タイマーで消灯後だけ稼働させる
エアレーションは24時間つけっぱなしにする必要はなく、必要な時間帯だけ稼働させるという使い方もできます。
コンセントタイマーを組み合わせて、消灯後から翌朝の照明が点くまでの間だけエアポンプを稼働させる、という設定にしておくと、CO2添加と酸素不足対策を両立させやすくなります。
手動で毎日コンセントを差し替えるのは意外と面倒なので、タイマーを1つ用意しておくと管理がぐっと楽になりますよ。
まとめ、水槽タイプ別エアレーション必要度早見表
ここまで紹介した内容を、水槽タイプ別の必要度早見表に整理しておきます。
| 水槽タイプ | 必要度 | 理由 |
|---|---|---|
| CO2添加中の水草水槽(日中) | 基本不要・逆効果 | 添加したCO2が空気中に逃げてしまう |
| 観賞魚メイン・水草少なめの水槽 | フィルター次第 | 上部式・投げ込み式ならフィルターの水流で足りやすい |
| 夏場の高水温期 | 高い | 水に溶ける酸素の量そのものが減る |
| 過密飼育・大きい魚がいる水槽 | 高い | 酸素の消費量が多い |
| 水草が多い水槽の消灯後 | 中〜高い | 水草が酸素を消費する側に回る |
エアレーションは「常につけておくもの」ではなく、水槽の状態に合わせて足したり控えたりする機材だと考えると判断しやすくなります。
フィルターのタイプ・水草の有無・季節という3つの視点で、今の水槽に必要かどうかを見直してみてください。
水槽の酸素不足は、放っておくと魚の体調不良につながることもあります。
魚の様子がいつもと違うと感じたときの見分け方については、魚が調子悪そう?よくある症状と対処法を扱った記事も参考にしてみてください。
今の水槽が、CO2添加中・過密飼育・水草多めのどれに近いか、だいたいの見当がついている。
フィルターのタイプだけで水面が十分に動いているか、動いていないかの見当がついている。
エアポンプ・エアストーンを選ぶときに、水槽サイズと静音性を確認する習慣がついている。
今日のアクション
- 今の水槽でエアレーションが必要か、水草の量と使っているフィルターのタイプから見当をつけてみる
- 夜、消灯後の魚の様子をいつもより意識して観察してみる
- エアポンプを検討するなら、水槽サイズの対応表示と静音性のレビューを確認してみる




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